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【ディズニーのサステナビリティ】Planet Possibleを徹底解剖|脱炭素・資源循環・水管理の“現実的な生存戦略”

【ディズニーのサステナビリティ】Planet Possibleを徹底解剖|脱炭素・資源循環・水管理の“現実的な生存戦略”
・ディズニーの環境戦略「Disney Planet Possible」を、脱炭素・資源循環・水資源の3軸で“技術”として解説。
・東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)と米ディズニーの立ち位置の違いも、ガバナンス視点で整理。
・メタン・スリップやスコープ3(移動CO2)など、綺麗ごとで終わらない“課題”まで踏み込む。

ディズニーランドと聞くと、どうしても「夢と魔法」のイメージが先行しますよね。

でも、少し視点を変えてみてください。あそこは、毎日数万人が訪れ、大量の電力を消費し、膨大なゴミが出る「巨大都市」と同じなんです。

僕が大学でSDGsを学んでいて痛感するのは、「環境への配慮」はもはやボランティアではなく、企業が生き残るための「インフラ投資」だということ。

今回は、感情的なストーリーは一旦置いておいて、ディズニーが取り組んでいるガチの技術や戦略について、男子大学生の視点でロジカルに深掘りしてみたいと思います。

ビジネスや技術に興味がある人には、きっと面白い発見があるはずです。

目次

1. 世界戦略「Disney Planet Possible」の全体像

まず、ディズニーの環境戦略は「なんとなく良いことをしよう」というレベルではありません。

「Disney Planet Possible(ディズニー・プラネット・ポッシブル)」という明確な世界戦略のもと、数値目標がガチガチに設定されています。

特筆すべきは、これがCSR(企業の社会的責任)というよりは、ESG(環境・社会・ガバナンス)という経営の重要課題として位置づけられている点です。

具体的には、2030年に向けた数値目標と5つの柱があります。

  • 温室効果ガス排出量のネットゼロ
  • 廃棄物ゼロ
  • 水資源の保全
  • 製品のサステナビリティ
  • サステナブルな建築設計
【ディズニーのサステナビリティ】Planet Possibleを徹底解剖|脱炭素・資源循環・水管理の“現実的な生存戦略”

面白いのは、アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニー(TWDC)と、日本のオリエンタルランド(OLC)の立ち位置の違いです。

資本関係が異なるため、ガバナンスや目標設定のプロセスが独立しています。

しかし、目指す方向性は同じ。

グローバルなブランド価値を守るために、それぞれの国で最適なアプローチをとっているという「構造的な戦略」が見えてきます。

2. 【脱炭素】メガソーラーと省エネ技術の最前線

ここからは少し技術的な話に入ります。脱炭素、つまりエネルギーの問題です。

アメリカと日本では、土地の広さもエネルギー事情も違うため、戦い方が全く異なります。

フロリダの巨大太陽光発電所と「送粉者」

フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドでは、その広大な土地を活かして、とんでもない規模の太陽光発電所を作っています。

その出力は約75メガワット。

これは中規模な火力発電所に匹敵するレベルです。

しかも、ただパネルを並べるだけじゃありません。

パネルの下に、ハチや蝶などの「送粉者(ポリネーター)」が住めるような植生を整えているんです。

「発電」と「生態系の保護」を同時に行う。

この合理的な土地利用の設計は、エンジニアリングとして非常にスマートですよね。

フランスのディズニーランド・パリでも、駐車場の屋根を全てソーラーパネルにする「ソーラーキャノピー」を導入しています。

車の日除けになりつつ発電もする。これも機能美を感じる設計です。

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日本(オリエンタルランド)の現実的な解

一方で、我らが東京ディズニーリゾートはどうでしょうか。

日本には、フロリダのような広大な土地はありません。

そこでオリエンタルランドが力を入れているのが、「徹底的な省エネ」です。

地味に聞こえるかもしれませんが、空調の効率化やLED化を極めることで、確実にCO2を減らしています。

また、2050年のカーボンニュートラルに向けた長期目標を設定し、再エネの調達も進めています。

置かれた環境(地理的条件)に合わせて、最適な解(ソリューション)を選択する。

これこそが、現実的なビジネス戦略と言えるでしょう。

3. 【資源循環】「捨てない」をデザインする技術

サステナビリティというと「我慢」をイメージしがちですが、ディズニーのアプローチは違います。

「デザインとアイデアで解決する」という姿勢が一貫しています。

おもちゃのパッケージから「窓」が消えた理由

たとえば、プラスチック削減の一環として、お人形のパッケージから透明なプラスチックの窓が廃止されました。

普通に考えれば、中身が見えないのはマーケティング的に不利ですよね。

でも、彼らはパッケージのアートワーク(イラスト)を魅力的にすることで、それをカバーしました。

プラスチックをなくすという制約を、クリエイティブで突破するビジネス判断です。

東京ディズニーリゾートの「Circulating Smiles」

日本でも面白い取り組みがあります。「Circulating Smiles(サーキュレーティング・スマイルズ)」です。

これは、パークで回収されたものを新しいグッズに生まれ変わらせるプロジェクト。

  • キャストの衣装 → バッグやポーチへ
  • コーヒーかす → グッズの染料へ
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これのすごいところは、単なるリサイクル品として売るのではなく、「その衣装だったからこその一点モノ」として価値を高めている点です。

ファン心理をうまく突きつつ、資源を循環させる。

ビジネスモデルとして、非常に巧みだと感じます。

また、建設廃材のリサイクル率も90%以上を目指すなど、見えないところでの設計基準もかなり厳しいようです。

4. 【水資源】埋立地・東京ディズニーリゾートの隠れた強み

インフラ好きとして注目したいのが「水」の管理です。

東京ディズニーリゾートは埋立地にあります。

つまり、水資源の確保は死活問題なんですね。

【ディズニーのサステナビリティ】Planet Possibleを徹底解剖|脱炭素・資源循環・水管理の“現実的な生存戦略”

パークの水を循環させる高度な浄化システム

実は、パーク内には自社の浄水施設があり、独自の循環システムを持っています。

一度使った水を高度に浄化し、トイレの洗浄水や植栽への散水として再利用しています。

そのリサイクル率は、なんと約19%にも達するそうです(2023年度実績など)。

このシステムは、単にエコなだけではありません。

災害などで外部からの水供給が止まったとしても、ある程度の水は自前で回せるという「BCP(事業継続計画)」としての側面も持っています。

リスク管理の視点から見ても、非常に理にかなった投資だと言えますね。

フロリダでも再生水の利用率は非常に高く、水管理はパーク運営の生命線であることがわかります。

5. 直面する課題と批判的視点

さて、ここまで良い面を見てきましたが、大学生としては批判的な視点も持っておくべきです。

全てが完璧なわけではありません。

クルーズ船と「メタン・スリップ」問題

ディズニークルーズラインでは、重油に代わる燃料としてLNG(液化天然ガス)の導入を進めています。

確かにCO2や硫黄酸化物は大幅に減ります。

しかし、LNGエンジンには「メタン・スリップ」という技術的な課題があります。

燃焼しきれなかったメタンガスが大気中に漏れてしまう現象です。

メタンの温室効果はCO2の数十倍と言われています。

これは「あちらを立てればこちらが立たず」という、技術的なトレードオフのジレンマです。

トラベル・パラドックス

もう一つ、避けられないのが「トラベル・パラドックス」です。

パークの中をどれだけエコにしても、ゲストの多くは飛行機や車を使って遠方から来ます。

この移動に伴うCO2(スコープ3)は莫大です。

大量消費社会の象徴とも言えるテーマパークが、どこまで本質的な環境負荷低減ができるのか。

「グリーンウォッシュ(見せかけの環境対策)」だという批判に対して、どう実効性のある数字で答えていくのか。

これはディズニーに限らず、ツーリズム業界全体が抱える重い課題です。

疑問を解決!Q&Aコーナー

ここで、よくある疑問についてサクッとまとめてみました。

Q. 結局、ディズニーの環境対策ってポーズだけじゃないの?

A. 投資規模を見る限り、ポーズではできません。 メガソーラーの建設や水循環システムの維持には莫大なコストがかかっています。長期的なエネルギーコストの削減や、気候変動リスクへの対策として、ガチの投資を行っていると見るのが妥当です。

Q. 日本のパークはアメリカに比べて遅れている?

A. 「遅れている」というより「条件が違う」という方が正確です。 土地がない日本でメガソーラーは作れません。その分、省エネ技術や廃棄物の分別・リサイクル技術においては、日本の方が細かい運用が得意な面もあります。それぞれの国の「得意技」で戦っている印象です。

Q. 僕たちゲストに何ができるの?

A. 「選択」を変えることです。 たとえば、カトラリーを断る、分別を徹底する、アップサイクル商品をあえて選ぶ。小さな需要の変化が、企業の供給を変える原動力になります。

【ディズニーのサステナビリティ】Planet Possibleを徹底解剖|脱炭素・資源循環・水管理の“現実的な生存戦略”

結論:エンターテインメントが変える「行動」

技術や戦略の話をしてきましたが、最後に一つだけ、ディズニーにしかない最強の武器について触れます。

それは「ストーリーテリング(物語る力)」です。

ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリーや、パークでの体験を通じて、「自然ってすごい」「守りたい」と理屈抜きで感じさせる力。

これは、どんなに優れた環境技術よりも、人の「意識」と「行動」を変えるスピードが速いかもしれません。

僕たちがパークに行ったとき、アトラクションやショーの合間に、ふと足元の「魔法以外の景色」——ソーラーパネルやリサイクルボックス——を見てみてください。

そこには、夢の国を次の世代に残そうとする、大人たちの現実的で真剣な戦いの跡があるはずです。




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